想像しやすいように施工事例を紹介
CONSTRUCTED
豊富な施工実績の中からイメージしやすい写真を厳選して紹介しております。住まいや店舗に対する十人十色のニーズにお応えするため、経験と実績を活かしたアドバイス、アイデアやデザイン力などを駆使し、こだわりや理想を形にしていくお手伝いをしています。細かいご要望も反映できるように打ち合わせやプレゼンテーションを重ね、設計から施工までトータルサポートいたします。
S山荘
自然を眺め、言葉を紡ぐ。八ヶ岳の別荘
自然を愛する施主様のために、八ヶ岳の麓に建てた別荘です。
木をふんだんに使い、周囲の自然と調和する住まいを目指して、施主様と約2年半にわたって打ち合わせを重ねました。着工から完成までは約8か月。目に見える空間の美しさだけでなく、厳しい冬にも安心して滞在できることを大切に設計しています。
古民家再生 O邸
「これで、作業が始められます」
セルフビルドの一歩目を支えた、千葉県の古民家再生
千葉県に建つ、茅葺き屋根の古民家。
その佇まいに惹かれた30代のご夫婦から、建物の再生についてご相談をいただきました。
ご夫婦には、いつかこの場所で飲食業をしたいという夢がありました。内装や仕上げは、自分たちの手でリノベーションを進める計画です。
K’s-laboに依頼されたのは、ご夫婦が安心してセルフビルドを始められるよう、建物の基礎と傾きを直し、耐震補強を行うことでした。
石の上に柱が立つ、昔ながらの古民家
床板を剥がすと、そこに現れたのは、石の上に直接柱を立てた昔ながらの構造でした。
現代のようなコンクリート基礎はなく、石が建物の基礎となり、その上に柱や建物の骨組みが据えられています。
長い年月を経た建物には傾きが生じていました。全体の高さを測定すると、家の中心部分が低く、場所によっては数センチ単位の高低差も確認されました。
一方で、柱や梁には太く立派な木材が使われており、これからも十分に生かせる状態でした。
古いからすべてを壊すのではなく、残せるものを見極め、価値ある材料を次の暮らしへつないでいくことにしました。
床板の下に溜まっていた水
建物の正面には水田が広がり、背面には竹林のある急斜面があります。敷地内には井戸もあり、もともと湿気が多く、大雨の際には冠水することもある土地でした。
実際に床板を剥がすと、床下には水溜まりができていました。
建物の中心部分が低くなっていたことで、水が集まりやすい状態にもなっていたと考えられます。
かつて、このような畳敷きの古い家では、畳替えの際に畳と床板を上げ、床下の状態を確認することも、暮らしの中の大切な手入れでした。
床板が傷んでいれば交換し、水が溜まっていれば砕石を入れる。住む人が自ら手をかけることで、家は長く守られてきました。
しかし、家主の高齢化とともに、そうした手入れを行う機会も減少。水の影響を受けやすい立地条件も重なり、建物の沈みや傾きが進んでいました。
建物を引いて起こす。職人を長野から千葉へ
建物を持ち上げ、傾いた柱や建物全体のゆがみを整える「よろび直し」には、専門の技術を持つ職人が必要です。
しかし、こうした技術を持つ職人は少なくなっており、K’s-laboにも専門の職人はいません。
現場が千葉県であることから、現地の職人へ依頼することも検討しました。しかし、建物の状態を見ながら高さや傾きを調整し、基礎や構造を整える工事には、現場での細かな意思疎通と連携が欠かせません。
そこで、長野県で以前から付き合いのある、信頼できる職人へ依頼。一緒に千葉県へ入り、工事を行いました。
施工では、建物にワイヤーやベルト状の牽引具を掛け、少しずつ力を加えながら、傾いた柱と建物全体のゆがみを整えていきました。
「家を引っ張って、崩れてしまわないのか」と心配になる光景ですが、この古民家には太く立派な柱や梁が使われていました。その丈夫な骨組みには、傾きを直すために加える力へ耐えられる強さが残っていたのです。
ただ力任せに引くのではなく、古い木材の状態を見極め、力をかける方向と加減を調整する。
長年培われてきた職人の経験と、古い家に使われていた木材の強さによって成り立つ作業です。
普段から関係性のできている職人だからこそ、現場での意思疎通もスムーズに進み、互いの動きを理解しながら工事を進めることができました。
立派な柱と梁を、新しい足元へ
建物全体の高さを測りながら骨組みを持ち上げ、傾きを少しずつ整えていきました。
床下には砕石を敷き込み、締め固めたうえでコンクリートを打設。水はけや湿気の多い土地であることを考慮しながら、建物を支える新しい足元をつくりました。
その上へ、既存の柱や梁からなる骨組みを据え直し、建物を水平に整えるとともに、将来の使い方を見据えた耐震補強も行っています。
使える立派な木材は残し、弱くなった足元には現代の技術を加える。
古民家が持つ価値を生かしながら、次の使い手が安心して手を加えられる状態へ整えました。
完成ではなく、セルフビルドの始まり
K’s-laboが行ったのは、建物全体を完成させるフルリノベーションではありません。
将来、飲食の場として使用することも見据えながら、残す柱や壁、変更する部分を整理し、建築の知識がないご夫婦でも、その後のセルフビルドをできるだけ進めやすいように計画しました。
基礎、建物の水平、耐震性という、専門技術が必要な部分をプロが整える。その先の床板張りや内装は、ご夫婦自身が引き継いでいきます。
K’s-laboの工事を終え、建物をお渡ししたとき、ご夫婦から聞かれたのは、
「これで作業が始められます」
という言葉でした。
この工事の終わりは、ご夫婦の家づくりの始まりでもありました。
すべてをプロへ任せるか、すべてを自分たちで行うか。その二つだけが、家づくりの選択肢ではありません。
専門技術が必要な部分は職人が支え、その先を住む人自身がつくり、育てていく。
長い年月、人の手によって守られてきた古民家は、新しい使い手の手へと受け継がれ、再び歩み始めました。